秘密の記憶は恋の契約
「ま、まさか・・・帰っちゃうんですか?」

「そりゃ終わったからね。綾部いるから寂しくないでしょ?じゃ、二人ともがんばってね~」

そう言ってパソコンの電源をおとした岩下さんは、私たちに手を振って、エレベーターホールに消えて行く。


(えーっ・・・!ま、待って・・・!岩下さん・・・!)


心の中で悲痛な叫び声をあげるけど、それは当然、岩下さんには届かない。


(行っちゃった・・・)


見えなくなってしまった後ろ姿に、しばし呆然とした私は、仕方なくなんとか気持ちを切り替える。


(よーし!こうなったら、一分一秒でも、早く仕事終わらせて帰るんだから!!)


気合いを入れ直したところで、綾部くんは私に声をかけてきた。

「オレたちも、早く終わらせて帰るぞ」

「う、うんっ!」


(もちろん、そのつもりです!!)


なんとかギリギリの平常心を保ちつつ、私はそれから必死で仕事に取り組んだ。

その結果、岩下さん退社の30分後には、私と綾部くんも無事に業務を終了できた。

「・・・終わったな」

「うん!ありがとう!」
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