秘密の記憶は恋の契約
達成感でいっぱいになっていた私は、綾部くんとの気まずさを忘れ、彼にめいっぱいの笑顔を向けてしまった。

けれど、目が合った彼は妙に真剣な顔をしていて、私ははっと我に返り、視線を外してうつむいた。

「あ・・・じゃ、じゃあ、おつかれさま!!」

そう言って、走ってフロアを出ようとすると、綾部くんは引き留めるように私の手首をぎゅっとつかんだ。

「!」

「夕飯、つきあえ」

「えっ!?」

「残業手伝ったんだ。イヤとは言わせないから」

「えっ!?ちょっと・・・!」

そのまま、綾部くんはずるずると私を引っ張って5階に止まっていたエレベーターに乗せると、途中ロッカールームに立ち寄ってから、会社の近くにあるファミリーレストランへと連れて行った。

「アルコール入らない方がいいだろ。

酒飲まずにゆっくりできる場所って言ったら、やっぱファミレスだろうと思って」

妙に説得力があるようなことを言うと、綾部くんは長い腕で店のドアを大きく開き、「入れ」と言って私を店内へと促した。
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