秘密の記憶は恋の契約
「・・・なんか、かっこいいね、腕」

私は少し寝返りを打ち、彼の二の腕をつん、と触れると、思わずそう呟いていた。

「そう?どうした急に」

「うん・・・。なんか、『男の人』って感じがして」

硬い筋肉。

パッと見スマートに見えるから、もっと細いと想像していた。

もちろん、半袖姿は見ていたけれど、こうやって至近距離で見て触れて感じると、彼の腕は抱いていたものと全く違う印象だった。

「まあ・・・男だからな。最近はあんま鍛えてないけど・・・」

そこで一旦言葉を止めると、綾部くんは何かに気が付いたように、「ああ」と妖しく微笑んだ。

「もしかして、挑発?」

「へ?」

「もう一回抱いてほしいとか、そういう事?」


(・・・は!?)


「ち、違うよ・・・!そんなつもりで言ったんじゃない!!」

「ふーん・・・。そうなの?」

「そうだよ!今日はもう・・・ほんとに・・・。その・・・また今度」

私がモゴモゴ口ごもると、綾部くんは「残念」と言ってからかうようににやっと笑った。

途端に恥ずかしくなった私は、彼の腕から視線をそらした。
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