秘密の記憶は恋の契約
「別に今更、聞かなくてもいい?」

私が忘れていたことに気づいた彼は、そう言いながら笑うけど。

やっぱり気になってしまった私は、「ううん」と言って首を振る。

「聞きたい。やっぱり気になるもん」

「・・・そっか。まあ・・・・そうかもな」

納得したように頷くと、綾部くんは一度呼吸を整えて、私に視線を投げかけた。

「じゃあ・・・結果から言うけど」

「う、うん・・・」


(ドキドキ・・・)


「何もしてない」

「え!?そ、そうなの!?」

気が抜けるような結果発表。

当時あれほど悶々としていた、私の気持ちはなんだったのか。

「まあ・・・キスはしたけど」

「・・・キス・・・」

「あー・・・いや。胸も触ったかな」

「は!?してるじゃん!いろいろ・・・!!」


(私の記憶のないうちに・・・!)


恥ずかしさと怒り感じ、私は彼に抗議する。

けれど彼は表情を変えずに、私を平然とたしなめた。

「大したことしてないだろ。今してたことを考えれば」

「だ・・・だって!付き合う前だよっ・・・!」
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