秘密の記憶は恋の契約
季節は、冬に程近い秋の終わりになっていた。

よく晴れた日曜日。

私と真依、綾部くんと沢木くんの同期4人は、住宅街にある茶色いマンションのエントランスの中にいた。

インターホンで『303』のボタンを押して、機械越しに「どーぞー」という詩織の声が聞こえると、大きな自動ドアが開き、私たちはそろってマンション内に入って行った。

今日は、久しぶりの同期会。

新居に越したばかりの棚田くんと詩織の家に、その他4人が大集合。

エレベーターで3階に上がり、「棚田」と書かれた玄関先で再びインターホンを押すと、マタニティウエアを着た詩織が「いらっしゃい!」と笑顔で出迎えてくれた。

「詩織ー!なんか久しぶり」

「うん。産休に入るから、引継ぎとかでバタバタしてて。会社でも全然会わないもんね」

「ほんとだね。でもよかった!体調もよさそうで」

詩織を前に、私と真依で盛り上がる。

すると家の奥から棚田くんが顔を出し、にかっと笑って手招きをした。

「そんなとこで盛り上がるな。寒いだろ。とりあえず入って入って」

「あ、そうだね!はーい」

「おじゃまします」と言いながら、私たちは玄関を上がって奥へと進む。

取っ手つきのドアを開けると、パイン材が敷き詰められた広いリビングに辿り着いた。

日当たりもよく窓から陽が差し込んでいて、部屋の中はとても明るい雰囲気がした。
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