秘密の記憶は恋の契約
「ほんとに!石山さんってば結婚した途端、全然飲みにも付き合わないの」

「へえー。でもいいじゃん、手料理が待ってるんでしょ。奥さん思いでステキだよ」

「えー!つまんないよ!石山さんがいない営業部の飲み会なんて、王子を失った宮殿状態なんだから」

「・・・意味わかんねえ」

真依のトークに、綾部くんが苦笑しながら即座にツッコむ。

棚田くんは大笑いをして、からかうように真依を見た。

「石山さんか。桑原はほんとに面食いだよな。そんなんだから全然彼氏もできないんだぞ」

「・・・う、うん・・・」


(ん?)


真依の歯切れがなんだか悪い。

いつもなら、「なにそれ!」とか言って反撃しそうなものなのに。


(うーん・・・?)


気になったものの、今は大人数が集まる場。

「そういえば」と沢木くんが話し出すと、あっという間に話題は逸れた。

「でも・・・みんなで集まるのはほんとに久しぶりだよね。昼間に集まるのなんて新人のとき以来じゃない?」

「うん。そうかもね」

「懐かしいな。まさか棚田と桜井が結婚するとか。信じらんねえ」

綾部くんの呟きに、棚田くんが「おまえと梅村もだ」とツッコミながら笑いを返す。

それを受けた綾部くんは、「そうだな」と言って私に甘い目線を送った。
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