秘密の記憶は恋の契約
「だ、だって・・・」

責めるように言われ、私はモゴモゴ口ごもる。

そんな私の態度に、綾部くんは「はー」と大きくため息をついた。

「・・・本当に、覚えてないわけ?」

「うん・・・」

覚えてないことに、ものすごい罪があるような雰囲気。

怒った彼の眼差しに耐えられず、私は視線を泳がせるけど。


(・・・はっ!・・・まさか・・・私が綾部くんを誘った、とか!?)


半分以上開いていた、ブラウスのボタン。

私は今朝の状況を思い出し、その可能性を考えた。


(『自分から誘っておいて』みたいな感じで、綾部くん怒ってたりして・・・)


「あの・・・私・・・何かしちゃったかな?」

大学時代の恥ずかしい思い出が、即座にフラッシュバックする。

「自分から誘うなんて絶対にしない!」なんて、言い切る自信は私にはない。

「・・・教えない」

「・・・え!?」

ドキドキしながら返事を待つ私に、睨みをきかせたの彼の声。

私はその予想外の返答に驚いて、口をポカンと開けてしまった。

「・・・教えないって・・・」

「自分で頑張って思い出せ」

「な、なにそれ・・・!余計気になるよ!!」
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