秘密の記憶は恋の契約
そのまま、近くにあった3階建ての大型書店に入って行くと、目当ての本をそれぞれ購入。

その後も広い店内をぐるぐる歩き回った私たちは、「疲れたね」と言って休憩をとることにした。

「あったかいコーヒー飲みたいな。ここの一階にもカフェがあったよね」

「ああ。じゃあそこ行くか」

「うん」

一階に下りてセルフサービスのカフェに入店すると、私は生クリームののったカフェモカを、綾部くんは「本日のコーヒー」を注文し、窓際のカウンター席に並んで座った。

温かいカップにふうふう息を吹きかけていると、綾部くんは左隣の私の手元を、なぜだかじーっと観察していた。

「・・・なあ。さっきコーヒー飲みたいって言ってなかった?」

「うん」

「じゃあ、なんでそんな甘いもの飲むんだよ。おまえ、棚田の家でオレのプリンまで食ってたろ」

「だ、だって・・・あれは綾部くんがいらないって言うから・・・。それに、これはコーヒーの仲間だよ」

「・・・コーヒーに謝れ」

「なんで」

「オレが飲んでるのがコーヒーだ」

「・・・だから、『仲間』だってば・・・」

ブツブツ彼に反論すると、綾部くんは突然ぷにっと私の頬を指でつまんだ。

私は「なに!?」とすっとんきょうな声を出し、驚き顔で彼を見た。

「絶対、ふくれただろ」

「え!?」


(・・・ド、ドキ!)


「前はもうちょっとつかみ心地が悪かった。今はすごいモチみてえ」

「・・・う、うるさいな」
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