秘密の記憶は恋の契約
「いいか。プラス10キロまでならなんとか大目に見るけどな。

20キロになったら、さすがに強制ジム送りだぞ」

「えーっ!やだよ。ああいうとこって、すごいスパルタっぽいし」

「そこまで増やさなきゃいいだけだろ」

「・・・そうだけど」


(どうしよう・・・うっかり増えたら・・・)


不安になって「うーん」と私が考えこむと、綾部くんはとりなすように続けて言葉をかけてきた。

「まあ・・・丸くなったところで、おまえを好きなのは変わらないと思うけど。

とにかく、オレの愛がデカいからって気を抜きすぎんなってこと。わかった?」

横目で私を睨む彼。

その色っぽいような鋭い目線に、思わず怯んでしまうけど。

彼の言葉を思い返して、私は「ふふふ」と笑ってしまった。

「・・・どうした」

「うん・・・なんか、嬉しくて」

「あ?・・・大丈夫か。おまえ、ふくれたって言われてんだぞ」

「うん、そうだけど・・・」 

私が嬉しいのは、もちろんそこの部分ではなく。

どんなに丸くなろうとも、私のことを好きだって、彼が言ってくれたこと。


(本人は、さらっと言っただけっぽいけど・・・)


「ふふ・・・」

「・・・へんなやつだな」
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