秘密の記憶は恋の契約
「わっ・・・。頼んでおいてくれたの?」

「ああ。クリスマスだから。特別」

冷やされていたシャンパンボトルを、彼が小さく上に掲げた。

テーブルの上には、グラスが二つとケーキの箱も置いてある。

私はすぐさま飛び起きて、彼の元へと駆け寄った。

「わあ・・・」

「初めての旅行だし。ちょっとカッコつけたんだけど」

「・・・うん・・・嬉しい。ありがとう」

照れくさくて、はにかむようにお礼を言った。

綾部くんは「どういたしまして」と嬉しそうに笑いながら、音を立ててシャンパンのボトルを開けた。

コポコポと、彼が注いでくれたグラスの中が、たちまちキレイな金色に染まる。

私たちは乾杯をして、取り分けたケーキをソファに座って味わった。

「おいしい・・・」

「うん。よかった。・・・まあ、こんな時間だけどな。今日は太るとか気にせずに食え」

「あー・・・。ちょっとー、言われると気になるんだけど」

「はは、そっか。悪い」

二人分のかわいらしいデコレーションケーキに、心もお腹も満たされる。

「ごちそうさま」と結局ぺろりと完食すると、彼は私に腕を伸ばして、抱き抱えるように自分の膝の上に乗せた。

間近になった彼の瞳。

綾部くんが、サンタ帽を指さして、私の顔を覗き込む。

「やっぱ似合うな、コレ。すげえかわいい」
< 320 / 324 >

この作品をシェア

pagetop