秘密の記憶は恋の契約
(本当に、キレイだもんね・・・)


結構近くに住んでいるのに。

私は、毎年この景色を見過ごしていたのかと思うと、なんだか残念な気持ちになった。

「こんなにキレイなんて知らなかったな。来年も見に来なくっちゃ」

何気なく私が呟くと、綾部くんは「そうだな」と頷いて、握っている手に力をこめる。

「来年も、一緒に来よう」

「えっ・・・」

心臓が、ドキンと大きく跳ね上がる。


(来年も・・・?)


彼が告げた、約束の言葉。

今、私たちは、一応恋人同士なわけだけど。

始まっているようで始まっていないような、そんな宙ぶらりんな恋人関係。

来年はもっと・・・今以上の関係になって、二人で紫陽花を見ているだろうか。


(そうなっていればいいな・・・)


自然と、そんな思いが湧き上がる。

私は自分の気持ちに戸惑いながら、頷くようにうつむいた。





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