溺愛結婚!?〜ふたつ目の婚約指輪〜


思いがけない言葉に驚き濠を見れば、満足げな笑顔を浮かべていた。

そして、濠は椅子から立ち上がり深々と頭を下げた。

その様子につられて私も慌てて立ち上がり同じように体を折った。

濠の言葉を聞けば、飲み物やお料理を出してもらうタイミングを待ってもらっていたとわかる。

それすら濠のサプライズだろうけれど、私はこの短い時間に大きく上下した感情の波に追いつけなくて、ただこの状況を受け入れることしかできない。

本当に、どこまで私を驚かせるんだろう。

私の視線ににやりと笑った濠は、吉本さんというらしいお店の人に向き直った。

「お待たせしてすみません。ワインもお料理も、お願いします。
それに、薔薇を用意していただいたり、このテーブルだけキャンドルを変えていただいてありがとうございました」

「いいえ。私の息子が結納の際には無理を言ってホテルのお部屋を用意していただき、感謝しております」

「そんなこと、構いませんよ。息子さんの慶びの日のお手伝いができて、光栄でした」

「私も、真田様と奥様の門出をお祝いできて、うれしいです。
それでは、ワインとお料理をお持ちしますので、もうしばらくお待ちくださいませ」


< 21 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop