イジワル婚約者と花嫁契約
お兄ちゃんの身体全体からしっかりと怒りが伝わってくるけれど、ここで怯むわけにはいかない。

「あの……お兄ちゃん、黙っていてごめんなさい。でも悪気があって黙っていたわけじゃ――……!」

「そんなの知っているに決まっているだろ!?灯里のことは誰よりも分かっている!……コイツよりもな」

さっきの仕返しとばかりに健太郎さんに睨みを利かせる。

「佐々木さん」

「あっ、はい!」

さすがの健太郎さんもお兄ちゃんには、安定のいい人ぶりを見せている。
いや、むしろ緊張している?
その姿に新鮮さを感じながらも、お兄ちゃんが健太郎さんになにを言うつもりなのか気になって仕方ない。
また昔のようにお兄ちゃんしか知り得ない私の恥ずかしい過去を、この場で暴露されてしまうのだろうか……。

だけどこれ以上うまく仲裁に入る自信はなくて、ハラハラしながらふたりのやり取りを見守った。

「灯里の相手は俺が認めた男とだけって決めているんだ。……だから今後、みっちりと見極めさせてもらう。佐々木さんと一緒になって灯里が幸せになれるかどうか」
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