イジワル婚約者と花嫁契約
お兄ちゃん……それってもしかして……?

「灯里、帰るぞ!」

「――え?わっ!?」

そう言うのと同時に強引に腕を引かれ、無理矢理立たされてしまった。

その様子を健太郎さんはポカンとしたまま見上げている。

「それともうひとつ。今後灯里と会う際は、必ず俺に報告するように。……結婚前に灯里が傷物になったら大変だからな」

「ちょっ、ちょっとお兄ちゃんっ!」

健太郎さんの前でなんてことをっ……!

「分かりました。お兄さんに認めてもらえるよう、全力を尽くします。……そのためにもそのお約束は必ず守らせていただきます」

――え?

いつの間にか健太郎さんも立ち上がっていて、宣戦布告を受けるように力強い眼差しをお兄ちゃんに送っていた。
その表情が気に食わないのか、お兄ちゃんは顔を強張らせた。

「じゃあお手並み拝見といこうじゃないか。……まぁ、俺以上に灯里を愛している男なんてこの世にいないと思うけどな」

バカにするように発せられた言葉に、一瞬健太郎さんの表情が歪むものの、両親の前で見せるような眩しい笑顔をお兄ちゃんに向けた。
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