イジワル婚約者と花嫁契約
「行くぞ」

だけど健太郎さんはそれ以上なにも言わず、全部分かっている。そう言いたそうに微笑み私の手を取った。

たまに感じるときがある。
健太郎さんとはまだ出会ってたった数ヵ月しか経っていないのに、私の全てを見透かされているんじゃないかって。
性格も行動パターンも、短所も長所も。
そう感じてしまうのは、私の気のせい……なのかな?



「灯里、これも似合うんじゃないか?」

そう言って差し出されたのは、可愛いフリルがあしらわれたワンピース。

「そう、でしょうか?」

言われるがまま渡されたワンピースをあてがい、鏡で全身をチェックするものの……。
さっきから健太郎さんが私に似合うと差す出す服は、どれもお兄ちゃんと好みが似ていて、驚きを隠せない。

しかも既に健太郎さんの手には、「プレゼントだ」と言って買ってくれた服入ったショップ袋が数個ある。

お兄ちゃんは健太郎さんのこと毛嫌いしているし、健太郎さんもお兄ちゃんのことをあまりよく思っていないはず。なのによく買い与えてくれるところも服の好みも一緒なんて、ちょっと可笑しい。
< 165 / 325 >

この作品をシェア

pagetop