イジワル婚約者と花嫁契約
「なにニヤついているんだ?」

「えっ!?」

ハッと我に返ると、健太郎さんもニヤニヤしながら私を見つめていた。

「そんなに嬉しいのか?俺に服を選んでもらえることが」

「べっ、別にそういうわけじゃっ……!それよりも健太郎さん!もう既に沢山買ってもらえたので、充分です」

そうだよ、つい最近お兄ちゃんにも買ってもらったばかりだし。
なにより健太郎さんにお金を使わせてしまうことが申し訳ない。

そんな思いから出た言葉であって、渡されていたワンピースも戻したものの、健太郎さんは面白くなさそうに顔をしかめた。

「別にそんな大して買っていないだろ?遠慮するなよ」

「遠慮なんてしていませんし、それに大して買いましたから!」

ピシャリと言い捨てると、「可愛げのねぇヤツ」なんて呟きながら、納得いかないのか他の洋服を見に行ってしまった。

なにそれ。私間違ったことなんて言っていないよね?
それともなに?
健太郎さんが今まで付き合ってきた女性は、皆ものを買い与えたら喜ぶ人ばかりだったの?
だから私も喜ぶと思った?
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