イジワル婚約者と花嫁契約
「でも違ったんだよね」

私の声を遮るように発せられた言葉。

「代表はさ、血の繋がりとか関係ないって言っていたの。……俺にとって灯里は一生大切な存在で可愛い妹だって言っていた」

「……お兄ちゃんが?」

「うん。だから灯里ちゃんがお嫁にいくまで、自分は絶対に恋愛なんてしないって宣言されちゃった」

お兄ちゃんってば千和さんにまでそんな話をしちゃっていたんだ。
でも嬉しい。お兄ちゃんがそんな風に言ってくれていたなんて。だって私にとってもお兄ちゃんは大切な存在だし、それは一生変わらないから。

「なんかそれを聞いて自分が恥ずかしくなっちゃってさ。今まで灯里ちゃんに嫉妬したりしてバカみたいに思えちゃったの。……人の気持ちなんてその人にしか分からないし、感じ方もその人それぞれでしょ?なのに私はふたりが血の繋がりのない兄妹と聞いただけで、変なこと考えちゃってさ。本当に恥ずかしく思っちゃった」

「反省しちゃったよ」そう言いながら舌を出す千和さんに、なぜか胸が締め付けられる。

だって千和さんのように想像してしまうのは当たり前だと思うもの。
なのにそんな自分を恥じて反省する千和さんが素直に素敵だなって思えて、それと同時にこんなに素敵な人がお兄ちゃんを好きでいてくれて、妹として嬉しいから。

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