イジワル婚約者と花嫁契約
「だから心配で灯里に会いにきたんだ」

嘘……本当に?
だって私、昨日は平然を装っていたよ?健太郎さんにバレないように。
なのに気付いてくれて、わざわざ仕事を切り上げて会いにきてくれたなんて……。
だめだ、せっかく堪えたはずの涙が限界。

「妙に空元気だっただろ?だから心配でさ――……っておい!どうして泣くんだよ!?」

「だって……っ!」

突然泣き出した私に、健太郎さんは慌て出す。
だけどもう無理だよ。簡単に涙は止まってくれそうにない。
気持ちが溢れて止まらないよ――……。

「私……健太郎さんにつり合う女性になりたいです」

「は?」

溢れた感情は涙と共に言葉として出てしまうけれど、健太郎さんは意味が分からずマヌケな声を出した。

「だって私、全然つり合っていないじゃないですか。……それに健太郎さん女性経験豊富そうだし、なんかそれ嫌だし……」

「ちょっと待て灯里、急に何言い出すんだ?それに誰がそんなこと言ったんだよ、つり合っていないとか」

戸惑いから少し怒りを含んだ声に戸惑ってしまう。
だけど思い出すのは千和さんと田中さんの言葉。

ちゃんと素直な気持ちを伝えないと、健太郎さんには伝わらない。


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