イジワル婚約者と花嫁契約
そしていつになく真剣な瞳が私の目を捉えて離さない。
ゆっくりと伸びてきた手は、さっきまで沢山の涙を流していた目元をそっと撫でた。
そのくすぐったさに一瞬瞼を閉じてしまう。

「嫁になるための十ヶ条。第七条」

目元を撫でながら健太郎さんは言葉を続けた。

「一人で泣かないこと」

「……え?」

目元を撫でていた手は止まり、今度は頬をそっと撫でてくる。

「あのさ、つり合うとかつり合わないとか、それって一体誰が決めんの?まさか他人とか言わないよな?」

「それは……」

そんなこと言われてしまったら言えそうにない。
通りすがりの人に言われたことを気にしているなんて。

言葉に詰まっていると、健太郎さんは呆れたように大きな溜息を漏らした。

「いいか灯里。そんなの誰かが決めることではない。お互いが思い合っていれば充分つり合っていると俺は思うけど?」

「健太郎さん……」

「ん?」

そうだろ?そう言いたそうに眉をハの字に下げ、困ったように笑いながら訴えてくる。



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