イジワル婚約者と花嫁契約
「それとさっきみたいに思ったことはなんでも俺に話すこと。……それで絶対に一人で泣かないこと。灯里が一人で泣いているかと思うと、俺も泣けてくるから」

健太郎さん……っ!

一度止まったはずの涙はまた溢れてきてしまった。

「おいこら。人が泣くなって言っているそばから泣くか?普通」

「だって健太郎さんが泣かせること言うから……!……それにいいじゃないですか、今は一人で泣いていません」

さっき言われた第七条を思い出し言えば、健太郎さんは面食らった顔をしつつも、すぐにその表情をクシャッと崩した。

「そうだな、今はいっか。俺が一緒だし」

声を押し殺すように笑うと、溢れる涙を優しく拭ってくれた。

「灯里……俺も灯里のこと好きだよ。つーか好きじゃなかったら嫁にしたいとか思わないから。……だから不安にならないでほしいし、なにかあったら俺にこうやって話して欲しい。それに俺と灯里はすっげぇお似合いだと思っているから」

「……っ!」

ズルイな、健太郎さんは。
どうしてこのタイミングで初めて『好き』って言うかな。
しかも惚れ惚れしちゃうくらいの眩しい笑顔で。
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