イジワル婚約者と花嫁契約
夢なのか現実の世界なのか曖昧な記憶。
救急車で運ばれて、そこで救急隊の人に質問されてなにか答えて。
そして辿り着いた先には、真っ白な白衣を身に纏った健太郎さんが駆け寄ってきたんだ。
そこから眩しい光を感じ、今度はしっかりと意識を失っていった。



「んっ……」

痛みに重い瞼をゆっくりと開けると、真っ先に目に飛び込んできたのは真っ白なクロス。
そして鼻につく消毒液の匂いと、激しい痛み。

息苦しさに自分の現状を見張ると酸素マスクがつけられていた。

あれ……私……。

痛みに襲われる中、曖昧な記憶を辿っていく。

確かお兄ちゃんに紅茶を出そうとして……そうしたら急にお腹に痛みを感じて……。
だめだ、そこからがうまく思い出せない。

痛みに耐えるよう大きく深呼吸していると、ずっと付き添っていてくれたのか、私が目を覚ましたことに気付いた両親が心配そうに顔を覗き込んできた。

「灯里、大丈夫?痛む?」

今にも泣き出してしまいそうなお母さんを支えるように横に立ちながら、お父さんが事の経緯を話してくれた。
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