イジワル婚約者と花嫁契約
「仕事中倒れたのを覚えているか?」

その問いかけに小さく頷くと、お父さんは安心したのかホッと胸を撫で下ろし、話しを続けた。

「急性虫垂炎だ。すぐに緊急オペをしてもらいもう大丈夫だそうだ。……倒れた時、近くに和臣がいてくれてよかったよ」

急性虫垂炎……?それって確か盲腸、だったよね?
そっか、盲腸だったんだ。
昔友達がかかって、すっごく痛かったって言っていたけど、まさかあんなに痛いとは思わなかった。
しかも手術が終わった今も痛いし。

「酸素マスクは明日には取れるだろうと言っていた。だけど点滴と尿道カテーテルは状態を見てだ。……辛いだろう?まだ熱が下がらないらしいから」

一気に説明されたものの、専門用語がところどころに入っていて、なおかつ痛みのせいでうまく理解できない。

「それにしてもよかったわ。たまたま搬送された病院が佐々木さんの病院で」

――え?健太郎さんの病院?

驚きお母さんを凝視すると、それに気づいたお母さんは嬉しそうに微笑みながら話してくれた。

「執刀してくれたのも佐々木さんだったのよ?」
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