イジワル婚約者と花嫁契約
現実から逃避するように布団を被った。
そしてギュッと目を瞑る。

嫌なことは考えたくない。
そう思っているのに、瞼に浮かぶのは以前見かけたふたりが並んでいるところ。

梅沢さんだけじゃない。
この病院には沢山のひとが働いている。
私のように健太郎さんのことを好きな人だっているのかもしれない。

だって健太郎さんはカッコイイもの。
現に初めて会った時だって、見惚れてしまったくらいだ。

かもしれない、じゃない。
きっといるよ。健太郎さんのことを好きな人!

どんどん嫌なことばかりが次々と頭に浮かんでくる。
嫌な思いを消しても浮かんできてしまう中、急に布団をはぎ取られてしまった。

「こら、なに狸寝入りしているんだ?」

布団を戻し、そっと肩まで掛けてくれたのは健太郎さんだった。

いつの間に来たのだろうか。
そんな気配全くなかったのに。

なにも言えず驚いたまま健太郎さんをガン見してしまっていると、フッと息を漏らし頬を緩ませた。

「なんだよ、そのマヌケ面は」

「痛っ」
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