イジワル婚約者と花嫁契約
「健太郎さん……は、私のこと好きでいてくれていますか?」

『は?突然なんだよ』

明らかに電話越しでも分かるくらい、健太郎さんは動揺していることが分かる。

「教えてください」

それでもちゃんと健太郎さんの口から聞きたくて訴えると、押し黙ってしまった。
けれどすぐにボソッと一言、『好きだよ』と小声で囁かれた声が耳を燻る。

聞きたかった一言――。

うん……大丈夫。
ちゃんと聞ける。ううん、ちゃんと聞くんだ。
さっきの一言を信じて。

『おい、一体どうしたんだ?急に電話をかけてきたと思ったら、変なこと言い出し――……』

「私、聞いちゃったんです」

健太郎さんの声を遮り、叫ぶように声を上げた。

「あの、さっき両親から聞きました。……私達の結婚の裏にある取り引きのこと」

『――え?』

一度でも間を置いてしまうと、もう聞けなくなってしまいそうで健太郎さんの返事も聞かぬまま、言葉を続けた。

「それとごめんなさい、梅沢さんからふたりの関係を聞いてしまいました」

『由美から?……あっ、いや……』

咄嗟に出た言葉に、酷く胸が痛んだ。
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