イジワル婚約者と花嫁契約
「そうさせているのは健太郎さんじゃないですか!」

『だから落ち着けって。……今からそっち行くから。その時ちゃんと話すから』

話すってなにを?
梅沢さんとの関係を?……それとも結婚のこと?
最初から私なんて好きじゃなかったこと?

嫌だ、そんなの聞きたくない。
もう健太郎さんの声なんて聞きたくない。……会いたくなんてない!

「来ないで下さい!……それよりも、この縁談自体なかったことにしてください」

『……なんだそれ、灯里、それ本気で言っているのか?』

一瞬にして声色が変わり心臓が跳ねる。だけどここで怯むわけにはいかない。
もう流されてばかりはこりごりだ。

この話だって私が最初からしっかり断っていればよかったんだ。
そうすればこんな思いしなくてすんだ。

「本気です。両親には私から伝えておきます。……だからもうこれ以上私を苦しめないで下さい。……健太郎さんのこと、嫌いにさせないでっ」

本音が漏れてしまい、慌てて電話を切ってしまった。

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