イジワル婚約者と花嫁契約
「灯里ー、ちょっといい?」

「ンッ……?」

ドアをノックする音と私を呼ぶ声に重い瞼を、ゆっくりと開いていく。
するといつの間にか部屋の中は真っ暗になっており、慌てて飛び起きベッドサイドにある時計で時間を確認すると、時刻は既に夜の十八時を回っていた。

嘘!私ってば一体どれだけ寝ていたの!?

確かお兄ちゃんが声を掛けてくれて、それからしばらく泣いて……。それにしたって結構な時間寝ていたことになる。

「灯里ー?寝ているのー?」

再度私を呼ぶ声に、慌てて返事をした。

「ごめん、なに?」

起き上がり、部屋の電気を点けドアの方へ向かっていく。
そしてドアノブに手を掛けようとした時。

「灯里にお客様よ」

――え?……お客様?

そのワードにドアノブに手を掛けたまま固まってしまった。

お客様ってまさか……?
ううん、そんなわけないよね。だってもし健太郎さんだったとしたら、お母さんが部屋に通すわけない。
今の状態の私を見て、そんな酷なことはしないはず。

そう自分に言い聞かせつつも、恐る恐るドアを開けた。
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