イジワル婚約者と花嫁契約
「かっこよくて仕事に真面目で。そんなお兄ちゃんを尊敬しているし、自慢だよ。……お兄ちゃんが私のお兄ちゃんになってくれて、本当に幸せだよ」

「灯里……」

「色々とありがとう。お兄ちゃんが調べてくれなかったり、こうやって連れてきてくれなかったら、私は今も家に閉じこもってウジウジ悩んでいたもの」

「なっ、何を言っている!兄として当たり前のことをしたまでだ!」

口ではそんな強がりを言っているくせに、顔を見れば今にも泣きそうだ。
そんな涙脆いお兄ちゃんも大好きだって思える。

「私、絶対に幸せになるから。……だからお兄ちゃんも約束。私以上に幸せになってね。そうしたら私も嬉しいから」

家族の中で誰よりもお世話になった人だから――。

「じゃあ行ってきます。……和臣お兄ちゃん」

ふと以前に『和臣お兄ちゃん』と呼ばれたい!と言われたのを思い出し、咄嗟に呼んでみたけれど、意外に恥ずかしい。
チラッとお兄ちゃんを見れば、驚き目を見開いたまま固まってしまっている。

泳ぐ目で田中さんを見れば、可笑しそうに必死に笑いを堪えていた。
その姿に居たたまれなくなる。

「えっと、じゃあね!」
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