イジワル婚約者と花嫁契約
そうだよ、謝るべきは私の方だ。

そう言うと健太郎さんはゆっくり頭を上げてくれたものの、どこか困ったように笑っていた。

「やっぱり電話の話は本当だったんだな。……まさか灯里に知られるとは」

「……どうしてお見合いの日に話してくれなかったんですか?」

「それは……そうだな、とりあえず最初から順を追って説明させてくれる?……灯里だって全てを覚えているわけじゃないだろ?」

健太郎さんの言う通りだ。
報告書に書かれていたことは、断片的にしか覚えていない。

深く頷くと「座って話すから」と言われ、近くのベンチに腰掛けた。
さっきまでぬくもりがしっかり感じられる距離にいたというのに、少しだけ肩が触れる距離がくすぐったい。

妙にソワソワしてしまい、目を泳がせながら隣に座る健太郎さんを見ると、健太郎さんは星空が広がる夜空を見上げていた。
その横顔に胸が鳴る――。
初めて会った時もそうだったけれど、やっぱり健太郎さんには見惚れてしまう魅力があるから。
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