イジワル婚約者と花嫁契約
「ずっと灯里に会いに行くことだけが心の支えだった。だけどその支えを失って今思うとバカみたいだけど、自分でも呆れるくらい荒れてさ。……あまり言いたくないけど、その……沢山女と遊んだりした。由美ともそういう関係だったんだ」

健太郎さんの声は震えていて、さらに強い力で私を抱き寄せた。

「由美にも今まで遊んできた女にも悪いことをしたと思っている。謝っただけでは済まされないと思う。由美には特に、な。……だけどあの時はどこにも吐き口がなくて、どうしようもなかったんだ。……なんて灯里には言い訳にしか聞こえないと思うけど」

上手く言葉が出てこない。
だってやっぱり好きな人がいくら過去といえど、そういうことをしていたと知ったら嫌だって思うから。
でも、もう過去は消せないっていうことも分かっている。
健太郎さんだって過去は消せないから、だから声が震えているんでしょ?……後悔しているんでしょ?

「健太郎さん」

「……ん?」

不安げな声にきつく自分から抱き着いた。

「もう絶対そんなことしないで下さい。……健太郎さんにそんなことしてほしくない」

「灯里……」

後悔しているなら、もう二度としてほしくない。
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