イジワル婚約者と花嫁契約
「お父さんがね、たまには外で食事をしようっていうの。だから灯里も早く用意しちゃって」

「はーい」

突然の外食は我が家にはよくあることだった。
家族を大切に思うお父さんだけど、仕事で忙しい毎日を送っている。だけどこうして少しでも時間が取れると、家族との時間を大切にしてくれるのだ。

「お父さんと和臣は仕事が終わらなくて直接向かうそうよ」

着替えを済ませ一階に降りると、お母さんはそう付け足しながら車の鍵を探しているところだった。
いつもはお父さんかお兄ちゃんの運転だから、たまにこうしてお母さんが運転するとなると鍵がどこにあるか分からない状態になるんだよね。

都心部に住んでいるし必要性を感じてこなかったけれど、私ももう二十四歳。
ひとりで色々なところに行ってみたい気持ちもあるし、免許取ってみようかな。そんなことを考えている時だった。来客を知らせるインターホンが鳴り響いたのは。

「あら、誰かしら。ごめん灯里ちょっと出てくれる?」

「はーい」

ちょうど玄関付近にいたため、リビングにあるドアホンを見ることなく玄関のドアを開けた。
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