イジワル婚約者と花嫁契約
『俺、“なんか”っていうやつ、一番嫌いなんだけど』

“嫌い”その言葉がなぜか胸に突き刺さる。

「……別に佐々木さんに嫌われてもかまいません」

痛む胸を手で押さえ、それを悟られぬよう強がりを見せるも胸のズキズキは収まってくれそうにない。

なんでだろう。
佐々木さんに嫌われることは本望なはずなのに――。

電話越しからはさらに大きな溜息が聞こえてきて、それがますます胸を痛ませる。

『それじゃ俺が困る』

「え……困る?」

嫌いって言ったくせになにが困るの?

意味が分からず首を傾げ、佐々木さんの言葉を待つ。
すると意外な言葉が返ってきた。

『俺はその“なんか”って言う灯里と結婚したいと思っているから』

「……っ!」

単純な私の胸は、たった一言でズキズキからドキドキに変わった。

『だからもう二度と言うな。自分で自分の価値を下げるようなことをしたらだめだ』

「佐々木さん……」

トクンと音を立てて胸が飛び跳ねた。
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