イジワル婚約者と花嫁契約
しかもこんな公衆の面前で。

顔が熱くなるも、ここでこのまま言わずにいるのも嫌だ。
それじゃ彼の思うがまま状態だし。
そんな変な競争意識が芽生え、負けじと彼の瞳をしっかりと捉え選手宣誓でもするように、声を張り上げた。

「お久し振りです!健太郎さん!!」

“健太郎さん”を特に強調して言えば、彼……健太郎さんは満足気に微笑んだ。

「上出来。それ、続けること」

まるで先生のように誉めると同時に、命令口調で言ってくる。
それがまたなんか悔しいけれど、残念ながら言い返すべくうまい言葉が浮かばず唇を噛みしめた。

「じゃあ早速始めようか。デートっていうやつを」

「――え?」

そう言うと健太郎さんはスッと手を差し出してきた。

意味が分からず、差し出された手と健太郎さんを交互に見つめてしまうと、健太郎さんは可笑しそうに吹き出した。

「それってわざと惚けてるわけ?普通分かるだろ?デートっていったら、手を繋ぐものだって」

バカにした言い方に、せっかく落ち着いた顔の熱がまた急上昇してしまう。

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