殺戮都市~バベル~
黒井と死神との戦いがあった程度で、他には大きな問題もなく、俺達は光の壁へと辿り着いた。


途中で服屋があったからそこに入り、女の子の衣類を見繕って。


「あ、あの……ありがとう。もしも次会えたら、お礼をさせてね」


そう言い、女の子は俺の手を取った。


「いや、あの……助けたのはこの二人なんだけど」


俺がした事と言えば、制服を貸しただけなんだけどな。


「そうでもないよ?恵梨香が戦ってる時に、その子の前に立って、被害を受けないように庇ってたでしょ?女の子はそういう所を見てるもんだよ」


フフンと笑いながら、俺の無意識の行動を褒めてくれる吹雪さん。


そ、そういうもんかな?


だったら、それはそれで良いんだけど。


「しかしだ、次に会うという事は、敵同士殺し合いになるかもしれないぞ?一対一で会うならまだしも、状況では再会しても武器を交える事だってある。今回の事は綺麗に忘れるんだな」


状況で……もしも俺が、奈央さんや新崎さんと一緒にいて、この子も仲間といたら……そういう意味かな。


確かに、それだとお互いに見逃すなんて出来ないかもしれない。


俺達ではなく、仲間が。


「それでも……何かお礼をする!じゃあありがとう!またね!」


そう言って、女の子は光の壁を通って東軍へと帰って行った。
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