殺戮都市~バベル~
圧倒的な強さのビショップ……の腕。


正直、こんなのに勝てるやつなんているのかと思ってしまう。


そんな腕が、ゆっくりと地面の中に戻って行った。


人が多い所を感知して、何人か殺したから満足したのか……それとも、ただ気まぐれで現れたのか。


「な、何だったんだ今の。沙慈が一瞬で……迂闊な事をしてっ!」


地面に空いた大きな穴。


西軍の人達はそこを避けて、なるべく近付かないように戦い続けるけど、近くにいた人達は明らかに動揺している。


俺自身……突然現れて、人を殺すだけ殺して去って行ったあの腕に圧倒されて、身動き一つ取れなかった。


初めて見るビショップの一部に、恐怖したんだろうな。


いなくなったのに、手が震える。


「大丈夫かい、真治!あんたまでブルってんじゃないよ!虚勢を張ってでも何でも良いから、あんただけは弱気になっちゃダメだからね!」


雪子さんにコツンと肘で突かれ、ハッと我に返った。


「大丈夫……です!」


本当は全然大丈夫じゃないけど、そう言うしかなかった。


ここに来て、なんてやつが現れたんだと不安を感じながら。


ビショップの登場で下がった西軍の士気を、これ以上下げる事は出来なかったから。
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