殺戮都市~バベル~
それに、この塔の壁も不思議だ。


武器が刺さらないと名鳥から聞いていたから、どれだけ硬いかと思ったら……凄く脆そうな材質の壁。


でも、やっぱり日本刀は刺さらない。


改めて思う。


ここは、今までいた街とは全然違う場所なのだと。


そんな事を考えている間にも、次に打ち上げられた人がやって来る。


……狩野だ。


てっきり名鳥が二番目だと思ったから、宙を舞う狩野の姿には驚いたけど、冷静に穴の中に着地し、肩に掛かった髪を後ろに払う仕草まで含めて美しいと、見惚れてしまう。


「とりあえず後は順一ね。各軍に伝令に向かった人達は後で合流するとして……」


そこまで俺に言って、狩野も奥から聞こえる奇妙な音に気付いたようだ。


眉をひそめ、ジッと穴の奥を見つめるけれど……答えは出ないようで、その表情は変わらない。


「何か、凄く嫌な物がありそうだよな。行き止まりじゃないって事だろうから、それは良かったと思うべきなんだろうけど」


「そうね……とりあえず順一が来たら、先行して調べてみましょう。皆を待つまでの時間で、私達に出来る事をしなきゃ」


俺は、初めての塔で少し不安があるのに、狩野はやけに堂々としている。


それが心強くもあった。
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