殺戮都市~バベル~
「うおおい!もうちょい右!右だってのに!!」


塔の内部を見ていた俺達の背後から、慌てる名鳥の声が聞こえた。


大体想像はつくな。


俺が高さが合わなかったように、名鳥は横が合わなかったのだろう。


だけど、それは致命的だ。


滑り降りる事が出来た俺と違って、横はどうしようもないのだから。


振り返って見てみると、名鳥が右側の壁に着地するように、激突したところだった。


俺と同じように、腕と足で何とか支えて。


そして、落下が始まる前に穴に向かってジャンプした。


しかし、壁面を蹴ったせいで、穴の位置まで来たものの……少し距離が離れてしまったのだ。


「まいったね、こりゃ」


「順一!槍!」


ハハッと笑いながらも、狩野の言葉で槍を俺達に突き付けた名鳥。


それを二人で掴んで、何とか名鳥を引き上げる事に成功した。


「いやあ、まいったまいった。でもまあ、何とかここまで来たって感じだな」


今、自分が落下しかけていた事など他人事のように、タバコを取り出してそれをくわえる。


「ここから何があるかわかりませんけどね。狩野と話してたんですよ。名鳥さんが来たら、先行して調べようって」


俺が塔の奥を指差すと、名鳥は煙を吐いて「フッ」と小さく笑った。
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