殺戮都市~バベル~
「あぁん、もう。照れちゃって可愛い。でも大声を出されるのは困るなぁ。せっかく可愛い子を美味しく食べられるかと思ったのに、ざーんねん」


そう言うと、サッと手を離し、俺の上に座ってフウッと溜め息を吐いたのだ。


何とか……おかしな事にならなくて済んだ。


俺の上に、殺す事が目的ではなく座っている敵がいるというのが不思議でならないけど。


その気になれば、俺が大声を上げるよりも先に、喉を掻っ切る事くらい出来そうだ。


「早く……ここから出て行ってください。誰かに知られたら、大変な事になってしまいますから」


この先の事を考えたら、今すぐ桜良を殺した方が良いに決まっているけど……この状況では、俺が圧倒的に不利だ。


「キミ、優しいね。そういう所も可愛くて……本当に食べちゃいたい。わかったよ。キミが困るといけないから出て行くけど、また会おうね」


俺をジッと見ながら、ソファの上に立ち上がった桜良。


背もたれを乗り越えて、足音も立てずに店から出て行ったのだ。


桜良が去り、再び沈黙が訪れる。


あれは何だったんだ、俺が見た夢だったのかと、ぼんやりとした頭で必死に考えたいたけど……何が起こったのか、さっぱりわからなかった。

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