冷徹なカレは溺甘オオカミ


◇ ◇ ◇


……どうしよう。

最近のわたしの脳内は、しょっちゅうその言葉が浮かんでは消えている。


どうしよう。そんなつもりなかったのに、印南くんのこと、すきになってしまった。

どうしよう。そしてただの後輩からすきなひとへとわたしの中で変貌を遂げた彼は、あろうことか自分の隣りの席だ。

どうしよう。今まで通り同僚として接したいけど、もしかしてわたし、態度に出ちゃったりしてないかな?

どうしよう。引き続きランチ逃走は実行中だけど、いくらなんでもさすがにそろそろまた問い詰められるよね?


……そして、今まさに頭の中に浮かんでいる『どうしよう』の素は。



「あの、柴咲さん。お話したいことがあるので、ちょっとお時間、いいですか?」



就業後の帰り際、にこりともせずに有無を言わせぬ視線の圧力でそう問いかける、わたしよりも年下な女性社員3人で。



「……はい」



思わず敬語で返答をしてしまったわたしは、彼女たちの後に続いて廊下を歩きながら頭を抱えてしまいたくなるのだった。
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