冷徹なカレは溺甘オオカミ
そろって管理部所属の彼女たちに連れて来られたのは、11階フロアの端っこ。

非常階段に続く扉があるだけの、人通りがない静かな場所だ。


わーお。ちょっと人に聞かれたくない話をするのに、なんておあつらえ向きな場所なのかしら。

密かに現実逃避をしながら、わたしは3人の後輩と対峙する。



「……なに、お話したいことって」



そう言って、目の前にいる彼女たちを見渡す。

今現在も必死にクールビューティを取り繕っているわたしだけど……なんてことだ。内心では完全にビビってしまっている。

だって年下といえど険しい顔した女子3人に囲まれてるとか、こわいわ! ふつーに!

普段はみんなかわいらしくニコニコきゃぴきゃぴしているのに、今わたしに向けられている顔はそれを微塵も感じさせず、かなり不機嫌なご様子。

今まで必要最低限の絡みしかなかったわたしに、一体何の用があるっていうの……!?



「単刀直入に訊きます」



3人の真ん中に立っている彼女──綺麗な茶色い巻き髪の阿部さんが、腕を組みながら口火を切った。



「柴咲さんって、本当に、印南さんと付き合ってるんですか?」

「は……」



意外すぎる質問に、わたしはつい間抜けな声をもらした。

ますます阿部さんはその形の良い眉を寄せて、いらついたように右手の人差し指で自分の腕をトントンと叩く。
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