冷徹なカレは溺甘オオカミ
なんてことをのんびり考えていたらいよいよ目の前の印南ガールズ(今命名)が本格的にキレそうだったので、ようやくわたしは重い口を開く。



「まあ……付き合ってる、かしら」



自分のせいで現在微妙な距離感とはいえ、わたしと印南くんの間で、まだ偽恋人契約解消の旨の話はしていない。

けどまあ、この関係が終わりを迎えるのは時間の問題だろうし……。


口には出せないそんな事情から、見た目は平静を装いながらつい中途半端な返しになってしまう。

するとわたしの煮えきらない返答に、さらに彼女たちは眉をつり上げた。



「『付き合ってるかしら』ってなんなんですか。馬鹿にしてるんですか?」

「あたしたち、真剣に訊いてるんですけど」

「ちょっと自分が美人だからって、人を弄ぶのもいい加減にしてください」



……ほんとわたし、たいして話したこともないような子たちになんでここまで言われなくちゃいけないんだろうか。

でも、今のはわたしの言い方もまずかったか。とはいえ、ハッキリ「付き合ってるわよ」って自信満々に言うのもなんだかなあ……。


こちらがおとなしくしているせいか、火がついてさらにヒートアップしていく印南ガールズ。



「なんで印南さんは、こんな人と……!」

「どうせ柴咲さん、印南さんが上司と先輩にすごく従順なのをいいことに、無理やり迫ったんですよね? ひどい!」

「………」
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