冷徹なカレは溺甘オオカミ
「……ねぇ、印南くん」

「はい」



ぱくりとたっぷりのソフトクリームを口に入れた印南くんが、素直に返事をした。

わたしはスプーンを持つ手を握りしめながら、訊ねる。



「あの。……鈴音さん、って……」



……馬鹿。わたし、馬鹿。

わざわざ振られにいくなんて、まるでマゾじゃないの。


小さく首をかしげた彼が、わたしの言葉の意味に思い当たったように、「ああ」と声をもらす。



「鈴音はまあ、腐れ縁といいますか。あっちは俺よりふたつ年下ですけど」

「……へぇ」



腐れ縁……幼なじみってこと?

でもさっきの様子だと、それ以上の関係なのは明白だった。


そこで彼は、少しだけ悩む素振りを見せて。



「そうですね。柴咲さんが俺に自分の秘密を打ち明けてくれたのに、俺が何も教えないのは、フェアじゃないですよね」

「え?」



ひとりごとみたいな、自分に言い聞かせるようなセリフ。

……一体、どういうこと?

彼は普段通りの無表情で、思わず目をしばたかせるわたしと、また視線を合わせた。
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