冷徹なカレは溺甘オオカミ
耳元でささやいてやればかわいそうなくらい頬を赤く染める彼女に、ますます自分の中の加虐心がそそられる。


──数ヶ月前のあの日、彼女に会議室に呼び出されて「バージンもらいやがれ」と迫られたときは、あまりのギャルゲー展開に動揺して頭が痛くなったけれど。

それでも、あのハチャメチャな“業務命令”があったから、今このときがある。

こうしていとしい彼女を、胸の中に抱くことができる。



「大智くん、ほら、ホットケーキが、」

「今はホットケーキより、柊華さんが食べたい」

「ま、またきみは、そういうこと言う……っ」



ちゅ、と柊華さんのこめかみにキスを落としながら、思い出す。


──このひとが、俺のことだけを見てくれたらいいのに。

──このひとが早く、俺のものになってくれればいいのに。


そう願いながら、初めて彼女を抱いた夜のこと。



「……あのとき、よく耐えたなー……」

「っえ?」

「こっちの話」



ごまかすように小さく笑って、今度はひたいにくちびるを寄せる。


……あの日、業務命令の遂行場所をここ──柊華さんの自宅にしたのは、ハジメテだという彼女の身体を気遣ったのもあったけれど。

一番の理由は、俺の家やホテルにしたら、一度きりじゃ帰したくなくなってしまうかもと思ったからだって。

そう言ったら、また彼女は恥ずかしがって、そっぽを向いてしまうのだろう。



「かわいい、柊華さん。だから俺がこうやってがっつくのは、柊華さんがかわいいのが悪いんですよ」

「なに、それ」



むくれながらも俺の服の胸元をすがるように掴むから、ほんと、たまらない。

せっかく作ってくれた彼女に悪いとは思うけれど、甘い湯気を放つテーブルの上のホットケーキは、今は放置で。

とりあえず先に、ひたすら甘くてやわらかい、だいすきなひとの身体を堪能することにしよう。










/END
2015/10/31
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