シャッターの向こう側。
 しばらくすると、皆ほろ酔い気分になってカラオケでも行く?

 なんて、話になっていた。


 さすがに、もう眠い。


 欠伸を噛み殺したら、冴子さんが首を傾げる。

「雪ちゃん、眠いの?」

「4日くらい、ちょっと徹夜で」

 正直に答えると、宇津木さんが腕を組んで眉をしかめた。

「ピヨ」

「はい?」

「そこまでしなくていい」

 ……って、言われてもね。

「私がそうしたかっただけですから、気にしなくていいんですよ」

「何も俺に付き合って、残業する事もないだろうが」

 いやいや。

「別に、それだけじゃ……」

 って、私、宇津木さんに何か言ったかな……?

 目を丸くすると、宇津木さんは溜め息をついた。

「やっぱりか。滅多に仕事を持ち帰らないお前が、ノートパソコン持って帰るからおかしいと思った」

「いや。単に画像の処理とか、もろもろと有りましたし」

 呟くと睨まれた。

「お前はフォトグラファーでグラフィックスはいいって言ってるだろ」

「それは私が嫌なんです」

「だから……」

 宇津木さんが言いかけた時、冴子さんが手を打って両手を上げた。

「ハイハイハイ。お互いの言い分は解ったから、今日はこれでお開きにしましょ。また次回、遊びましょうと言うことで」

 それから立ち上がり、一同を見渡す。

「何か文句でもある?」

 ジロリと鋭い目で見られ、反射的に首を振った。


 ……ないです。

 正直言うと、美人の睨みは怖い……と感じた瞬間だった。

 会計を済ませ店を出ると、宇津木さんと冴子さんは無言で駅に向かう。

 その数メートル後ろを、坂口さんと歩きながら首を傾げた。

「……何か、喧嘩させちゃいましたか?」

 坂口さんは肩を竦め、ポンポンと私の頭を軽く叩く。

「宇津木はああいう奴だし、冴子ちゃんはフェミニストだから」

 ……解るようで解りにくい説明に無言になった。

「まぁ、あの二人はいつもああだから、神崎ちゃんが気にすることないよ」

 ……そうかなぁ。

 さっきのやり取りで、冴子さんは不機嫌になったような気がしないでもないんだけど……
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