シャッターの向こう側。
***


「それで。今は何時だ」


 玄関先……


 タオルで頭を拭きながら、宇津木さんは不機嫌そうに呟いた。


 ……イキナリ何。


「今は、多分17時過ぎ」

「……有野さんから、封筒を受け取ったのは何時だ」


 ぇえと。


「13時過ぎ?」

「4時間近くも何をしてたんだ」

「買い物っ!!」

 スーパーやデパートの袋を差し出すと、宇津木さんは訝しげに眉をしかめた。

「とにかく、上がれ」

「そのつもり」

 袋を受け取ろうとする宇津木さんを押しながら、部屋に上がり込んだ。

「病人は寝ててよ。看病しに来たんだから」

「届け物をしに来たんじゃないのか」

 ああ、うん。

 そうなんだけど。


 ……あれ?


「よく知ってるね」

「有野さんから連絡を受けた」

 疲れた様にベットに座り込む宇津木さん。

 眼はちょっと赤い。

 多分、熱があるのかどこかうるうる。

 でも無精髭はない。

 髪は濡れてる。

 着ているのはパジャマ代わりにしているとは思いにくい、ぱりっとした白いワイシャツにジーンズ。


「出かけるとこ?」

「それは、よくなった」

 そう言って、横になると疲れたように枕に頭を乗せた。


 ええと、もしかして……探しにいこうとかされていた?

「馬鹿が」

 と言う呟き。

「……ぇー」

「えー……じゃない」

 ぶつぶつ言いながら、だるそうに起き上がる。

「寄り道するなら連絡くらい寄越せ。子供じゃないんだから」

「いや。まさか有野さんから連絡入ってるとは思わなくて」

 それに連絡したら『来るな』とか言いそうだったし。


 溜め息をつく宇津木さんは、クローゼットを指差す。

「とってくれるか?」

「へ?」

「着替える」

「ああ……!」

 はいはい。

 Tシャツとスエットパンツを取り出して振り返った。

「パンツもいる?」

「……シャワー浴びた時に着替えた」

 それもそうか。

 着替える姿を見ながら、納得。
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