魔法使いの一日
「おねーちゃん、誰?」

「私? 名乗るほどのものでもないんだけどなー……私は、タイムサービスを求めてスーパーに向かう学生、とだけ言っておこうかな」


うん、いくらなんでも長すぎだろと思った。もう少し短く省略できなかったのか自分。


「まあそんな事より、もしかして迷子? お父さんやお母さんは?」


すると女の子はその事を思い出したのか、じわ~っと目に涙をためる。


「ママと、お買い物に来たの…でも、いつの間にか、ママ、どっかに行っちゃってて…居なくなっちゃった……っ」

「あっちゃ~…」


予想通りの迷子だった。というかこの子のお母さん、ちゃんと子供から目を離さず見てなくちゃいけないじゃないか。それとも子供置き去りにして買い物か。どちらにしたって注意力ってのがかけてるよ。


私はポケットに入れていたケータイを取り出し時間を見る。


タイムサービスの時間までまだちょっと時間はあるし……よし。







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