きみが死ぬまでそばにいる
 
「こういう冗談は嫌いです、俺」
「…………」

 淡い期待は、陸によってすぐさま打ち砕かれた。
 わたしに残されたのは二択。どちらも選びたくないが、それは叶わないだろう。
 何の罪もない弟に復讐なんて、きっとわたしはバチがあたったのだ。だから、こんなことになる。
 もしかしたら、神様がやめろと言っているのかもしれない。引き返すなら、今だと。

「……ごめんね」

 わたしは観念した。血の繋がった弟と――なんて、わたしにはどうしても考えられなかった。

「わたし、好きな人がいるの。だから――」
「それでもいいよ」
「……え?」

 本当は、椎名くんの気持ちには応えられない、という言葉が後に続くはずだった。

「だから、好きな人がいてもいいから」

 思わず聞き返してしまったわたしに、陸は同じ意味のセリフを繰り返す。

「返事は、もう少し考えて下さい」
「でも……」

 待ってもらっても、返事は変わらない。なんて、懇願するような陸を前にしてはとても言えなかった。
 
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