狼さんに喰われたい。
「誰が苦労人だって?」

大神さんが羽鳥さんの首に腕を回す。


「美弥様とちょっと話しただけで、焼きもちですか?」


首を絞めようとした腕から力が抜ける。


「煩いな。」

拗ねたように口を尖らせて、大神さんは先に車に乗ってしまった。


「まぁ、可愛い所もあるんですよ。」

羽鳥さんが苦笑した。

本当に仲が良いんだなぁ。


「あ、羽鳥さん。
私に『様』は要りませんよ。
居候みたいなもんだし...」


「では、美弥さんにしましょうか。」


「お前ら早くしろ。」

車の窓から大神さんが顔を出す。


「行きましょうか。」

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