新選組と最強子供剣士
どこだ?どこに行った?


辺りを注意深く見渡す。


気配はない。


物音もしないし、影もない。


撒かれたのか?


ガッ! ピシッ


山崎が警戒を少しときかけた瞬間、それは起こ
った。


一瞬の出来事。


今、山崎は剣壱に目に針を当てられていた。


いや、実際は当てられてはいない。


目の前に、少しでも動けば刺さる距離。


それも剣壱の手に持っている針は、裁縫で使うごく普通の針。


剣壱は山崎の着物を引っ張って廊下から庭に落とし、座りこんだ山崎の目の前に針を寸止めしたのだ。


山崎が状況を理解したのは、剣壱が声を発した時だった。


針は脅し。


『動いたり声を出せば刺す』という脅しだ。


「山崎さん、気配は絶つだけじゃ意味がないんだ。気配を絶っても物音を立てちゃ意味ないよ?」


剣壱はそう言うが、山崎は自分が物音を立てた覚えがなかった。


「知ってる?土方さんの部屋の前の廊下、歩くとけっこう軋んだりするんだ」


「!」


「そしてね、この庭の前の廊下、軋む音が他よりも小さいんだ」


「な、なぜそんなことを知って‥‥‥」


「僕がまだ外出許可をもらってなかった時、この屯所をくまなく探索してたんだ。自分の住むところ位は知っておかないと」


刹那、山崎の視界が回った。
 

グッ!ダンッ!


そして一瞬にして床にたたきつけられ、剣壱に首を軽く絞められる。


「ぐっ‥‥‥」


「一回監視が外れたからね。もう山崎さんが僕のことを無視してくれればこんなことしなくて済んだのに。本当、勝手なことするなよ」


剣壱はそう言うと手の力を込めた。


「カハァ!」


「監視は山崎さんの独断だよね?誰かに命令されたなら今ここで吐いて」
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