ウソ夫婦

「今夜は実家に帰るのか?」
「うん」
「じゃあ俺は、スィートに一人?」
「そう」
「つまんねーな」

ジェイがあすかの手を握る。冷たい指先が絡み合うと、自然と暖かくなってくる。

あすかは平静を装おうと必死だった。

ふと、ジェイがあすかの顔に視線を合わせる。黙って、しばらく見続ける。

「な、何?」
「今日は……いつもと違うな」
「そう?」
「大人っぽいというか」
「でしょ?」

あすかは嬉しくなって、にっこり微笑む。

「老けたか?」

あすかはジェイの手を振りほどいた。

ジェイはすました顔で、窓の外に目をやる。

腹立つ。
まじで。
この人と本当に結婚していいのかしら?

< 182 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop