ウソ夫婦
「今夜は実家に帰るのか?」
「うん」
「じゃあ俺は、スィートに一人?」
「そう」
「つまんねーな」
ジェイがあすかの手を握る。冷たい指先が絡み合うと、自然と暖かくなってくる。
あすかは平静を装おうと必死だった。
ふと、ジェイがあすかの顔に視線を合わせる。黙って、しばらく見続ける。
「な、何?」
「今日は……いつもと違うな」
「そう?」
「大人っぽいというか」
「でしょ?」
あすかは嬉しくなって、にっこり微笑む。
「老けたか?」
あすかはジェイの手を振りほどいた。
ジェイはすました顔で、窓の外に目をやる。
腹立つ。
まじで。
この人と本当に結婚していいのかしら?