子犬物語。
 しかしそんな行動とは裏腹に、猫の口調は厳しく、

「一匹でウロウロとしてっからあんな目に遭うんだぞっ!」

 予期せぬ怒鳴り声に、メロンがびくっと体を縮こませる。

「だ、だって見るもの全てが新しいんだもん! 今まで知らなかったものばっかりで、ほら、新しいものを見るときってドキドキハラハラするでしょ!? だから、その……次は何が見れるのかな、もっともっと……って、夢中になっちゃった、の……」

 厳しい表情のままの猫からいつ罵倒が飛び出るかと、おっかなびっくりしながら弁解する。

「あぁ、初めて?」

 眉間を寄せて、傷口を舐めるのを一時的にやめ、メロンの体の匂いをしばらく嗅いでからなるほどと頷く。

「お前、人間とともに暮らしていたな? 乳臭い匂いにまぎれて俺の大嫌いな人間の匂いがする」

 だが。こんな小さいガキをほったらかしにする人間がいるだろうか?

「迷子か?」

「迷子……?」

 その言葉の意味が判らないメロンは首を傾げる。そのメロンの様子を見て、

「いや、違うな」
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